DIYで地震の揺れから我が家を守る

木造建築物の構造的弱点とその補強方法

木造家屋は温もりと自然な美しさを兼ね備えていますが、地震国日本においてはその構造的弱点に注意し、万全の備えが求められます。今回は、これらの弱点と、DIYでできる基本的な補強方法を考えます。

DIYによる耐震補強は、あくまでも簡易的なものと考えてください。構造エンジニアによる詳細な分析が重要で、建物の安全性を向上させるために必要な改修を決定します。専門家による評価と適切な補強措置の実施が、木造建築物の安全性を向上させる鍵になります。
しかし、自らが木造建築物の構造的弱点とその補強方法を知ることは、安全、経済、そして心理的な安心感を得るために役立ちます。家族や財産を守るためには、これらの知識を持つことが極めて重要になります。

耐震対策を考慮する際、建築基準法の重要な改正点を把握することが不可欠です。1981年6月に実施された法改正により、それ以前に建築された建物は「旧耐震基準」として知られ、現在の基準に比べて耐震性に劣る可能性があります。また、2000年6月の改正では木造住宅に対する基準が強化されました。これにより、この時期以前に建てられた木造住宅も耐震性を向上させるための補強が推奨されます。


筋交いが入った建築中の日本家屋

構造的弱点とは何か:

  1. 基礎と土台の接続:
    木造家屋の根幹を成す部分で、ここがしっかりしていないと大きな揺れで家全体がずれる原因になります。
  2. 壁の剛性:
    地震の力に対する抵抗力は壁の剛性に大きく依存しています。特に筋交いが不足している壁は要注意です。壁は横方向の力に対して弱くなります。特に日本の伝統的な木造建築では、適切な筋交いが非常に重要です。
  3. 接合部の強度:
    梁や柱などの接合部が弱いと、それらが地震の力で外れやすくなります。日本の木造建築では、伝統的な仕口(しごう)接合が使われることがあり、これらは釘や金具を使わずに木材同士を組み合わせる方法ですが、耐震性を向上させるために補強が必要になります。
  4. 開口部の配置:
    ドアや窓などの開口部が多い壁は、構造的に弱くなりがちです。開口部の周囲に適切な補強が施されていないと、横方向の力に対する壁の抵抗力が低下します。
  5. 屋根の重量:
    重い屋根材を使用していると、地震時に壁に大きな力がかかり、損傷のリスクが高まります。
  6. ソフトストーリー現象:
    複数階建ての木造建築物では、上階の構造が下階の構造に適切に伝達(柱などに乗っていない場合)されないと、上階が地震の揺れで横にスライドする「ソフトストーリー現象」が起こり得ます。上階の重みが下階に十分伝わらず、地震で揺れやすい状態になります。ウィークストーリーとも呼ばれ、1Fは柔らかいということです。

構造用合板でぐるっと囲まれた建築中の日本家屋

DIYでできる基本的な家屋の補強方法:
構造的弱点をすべて素人がDIYで行うにはしきいが高すぎますが、筋交いや構造合板の設置や接合部の補強は比較的行いやすいと思います。これだけでも格段に耐震性能は上がるはずです。

  1. 筋交いの設置:
    壁に筋交いを追加し、壁の剛性を高めます。さらに金具や専用のブラケットを使用して壁と柱を強化します。例えば、単管パイプの両側を潰し穴をあけて筋交いに利用することができます。2000年以前の木造建築は筋交いが無い場合が多いです。
    また、間仕切り建具を外し構造用合板と筋交いで壁化することで構造強化を図ることも可能です。
  2. 接合部の補強:
    柱や梁の接合部に金具を取り付けて補強することができます。これにより、部材同士の固定を強化します。さまざまなブランケット金具を利用し接合部を強化します。接合補強用の金具は値段も手ごろのなのでDIYにはおススメです。

DIYによる補強は、木造家屋の耐震性を向上させる一助となりますが、専門的な知識と技術が必要な場合も多いです。重要な構造的補強は、可能な限り専門家の意見を参考にしながら行うことをお勧めします。安全な住まいづくりは、正しい知識から始まります。今回紹介した基本的なDIY補強方法で、古いけど大切な家を守りましょう。

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